西川口の新興中国人街を見る(2)「街が呑まれる」(金友隆幸)
前回伝えた西川口の新興中国人街をめぐる続報だ。街を歩いていて、気になったのは、繁華街の路地を走る車の運転の荒さだ。ウインカーは出さないし、歩行者がいても止まらない。強引なバックやUターンをする。
そうこうしていると、筆者が見ている目の前で車同士の接触事故が起きた。ぶつけられた方は日本の配送業者だったが、ぶつけた方は外国人で、日本語が話せないからか、相手に手を合わせて何言か言ってどこかに電話をかけていた。こうした小さな事故を処理をする警察にも通訳が必要になり、その負担は国民の税金だ。
仮に中国人とベトナム人の交通事故が起きとなれば、中国語とベトナム語の通訳が必要となる。元通訳捜査官の坂東忠信氏によると警察が捜査に用いる通訳に対しては、時給換算で8000円発生すると言う。それが2人(2言語分)必要になる。軽微な交通事故なら短時間で済むだろうが、複数の外国人が関係する刑事事件になればこんなものでは済まない。しかも、双方の言い分が食い違ったり、嘘を並べ立てたり、片方が黙秘でもしようものなら大変だ。
中国人客が大勢買い物していた中国食材と雑貨を売る商店の外壁には公明党のポスターがいっぱい貼られていた。こうした中国人集住地帯に行くと、中国人の店に公明党のポスターが貼られている光景が少なからず見られる。今や「準暴力団」とまで呼ばれる中華系半グレグループの関係先と噂される都内繁華街にある店には、立憲民主党のポスターが貼られていたこともあった。こうした政党の掲げる政策と在日中国人は相性が良いのだろうか。
この西川口の現状を見て、「中国人が増えても横浜や神戸の中華街みたいになるだけでしょ」と思う人もいるかもしれないが大きな間違いだ。
いま激増しているこうした外国人集住地帯は日本人客を相手にしていないし、日本のルールに従わない。自分たちだけのコミュニティとなるので、日本社会に同化するのも極めて遅くなるか、そもそも同化する意思を持たなくなる。日本人を客とし、日本の慣習を尊重し、日本社会に同化してきた旧来の中華街とは全く異質だ。
こうした街は、かつての中華街とは違い、一定の区画にとどまらず増殖を続ける。事実、西川口では、駅の西口だけではなく、東口にも中国人専門の雑貨屋や八百屋、中華料理屋が増え始めている。中国人住民の割合が一定数を超えれば、中国人は自分たちの習慣を街のルールにして、住みづらくなった日本人は街を去っていく。それによって街はますます外国人を必要とする悪循環に陥る。これは満洲や、南モンゴルで漢民族がしてきたのと同じことだ。
筆者が西川口を見て感じたのは「街が呑まれる」だ。あたかも蛇が餌を呑むかのごとく。呑み込まれた街はやがて蛇の体内で消化され、蛇の血肉となる。今後、こうした街が日本の各地に出現していくだろう。
(金友隆幸)
- 西川口の新興中国人街を見る(1)日本人が異人になる街
- 西川口の新興中国人街を見る(2)「街が呑まれる」