棄権・無効票5581万3871票!参院選投票率、戦後二番目の低さ

 7月に投開票された参議院選挙は投票率が48.8%と戦後2番目の低さを記録した。棄権と無効票も5581万3871票で、与党が過半数を維持したものの、与野党ともに得票数が減少し、勝敗というよりも双方痛み分けで、国民の既成政治への不信を示す形となった。

 特に全有権者に占める自民党の得票率は18%と、はじめて2割を切る事態となったが、議席占有率は5割を超え、改めて選挙制度の歪みを浮き彫りにした。また「一票の格差」も3倍のまま放置されての選挙となった。

組織政党を直撃する高齢化の波

 投票率が低下すれば組織票を持つ所が有利と通説のように言われてきたが、今回の参院選では創価学会を支持母体とする公明党は、前回参院選から103万票も得票を減らし653万票だった。日本共産党も同様に得票を153万票も減らし448万票となった。組織政党といえども高齢化と人口減少の影響に直面している様子をうかがわせた。

 創価学会に限らず新興宗教団体はどこも信者数を減少させている。一年間で信者が一割減という教団もあるようだ。

 これは宗教に限らず労働組合も同様である。厚生労働省が平成29年にまとめた「労働組合基礎調査」によると労働組合の推定組織率は17.1% で過去最低を記録した。

 与野党ともに当てにしてきた宗教や労組といった票田が崩壊していくのはもはや確定的だ。

第三極も退潮へ

 与野党が軒並み得票を減らす中、維新の会は前回の衆議院選挙よりも152万票増やして490万票となったが、これは希望の党が瓦解したことによって票が戻ってきたものと見られている。しかし、前回衆院選で希望の党出現によって維新の会が減らした票が176万票であった事とあわせて見ると「回復」とは言い切れず、かつて持て囃された既存の「第三極」の政治勢力が緩やかな退潮に入ったと見る事ができる。

肥大化する無党派と無関心

 しかしながら、宗教団体の信者減少と労働組合の組織率低下、田舎の過疎化と都市部への人口集中が続く限り、第三極もしくはそれに類似した勢力を支持する無党派層が肥大化し続ける事実も見落としてはならない。

 日本人の価値観が「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた昭和40年代からすると、その価値観は比べようもないほど多様化し、国民も既存組織や政党といった形に収まらなくなってきたが、選挙制度そのものがそれに追いついていないのが実情ではないか。

 この投票率で次に衆議院選挙をやっても、よほどの話題を呼ぶ争点でも無い限り投票率の上昇は望めないだろう。