韓国「防波堤」論の大嘘

日本国民党情報宣伝局長 金友隆幸

 

 三月十六日の韓国大統領尹錫悦の来日にあたっては、総理大臣官邸前に、韓国の太極旗を持ち、「尹錫悦大統領歓迎」と掲げる異様な集団が出現したという。
 
 一説によると、この集団は旧統一教会の分派「サンクチュアリ教会」であるという。
 「サンクチュアリ教会」は統一教会の教祖であった文鮮明の七男の文亨進がつくった教団だ。聖書に出てくる「鉄の杖」とは、アメリカの自動小銃「ARー15ライフル」であるとする、素人目にもメチャクチャな解釈をおこない、銃弾で作った冠を頭に載せて、銃を神聖な物のように扱う異様な集団だ。
 
 この「大統領歓迎団」は、「北朝鮮に対抗する為にも韓国との連携をすべき」と繰り返し主張していたそうだ。
 
 そもそも、こうした発想自体が、朝鮮人同士のしょうもない喧嘩に日本を巻き込もうとするものだ。
 
 ところが、こんな集団に同調して、「韓国大統領を歓迎すべき」「日本は韓国と共闘」などと言い始める者が、「保守」を自任する人の中にいるのだから、誠に残念、あってはならない事と呆れるばかりだ。
 
「親日大統領」のウソ
 
 そうした言説の中には、韓国大統領の尹錫悦が「親日だ」というものもある。
 なにをもって「親日」と見なしているのかは定かではないが、尹錫悦は去年八月十五日の「光復節演説」で、「尹奉吉先生の独立精神」として、昭和七年に上海天長節爆弾事件を起こして日本人を殺傷した尹奉吉を称賛している。
 
 そもそも、尹錫悦は二年前の六月二十九日に、この尹奉吉を顕彰する「梅軒尹奉吉義士記念館」で出馬記者会見をおこなっている。
 
 歴代の大統領の中でも、尹錫悦は反日テロリストへの入れ込みようが強い。これで「親日」になるなら、世の中に存在する物のほとんどが「親日」になる。
 
「韓国が妥協した」というウソ
 
 今回の日韓首脳会談にあたり、「韓国が妥協した」というウソも振りまかれている。
 徴用工問題に対して韓国側は「韓国側民間企業が拠出した財団基金が、原告側への賠償金を肩代わりする」という案を示した。これを「韓国側の妥協」とするのは間違いだ。
 
 そもそも全ての問題は昭和四十年の日韓基本条約において「完全かつ最終的に解決」されている。
 
 徴用工問題にしても、慰安婦問題にしても、全て政治問題化して言い掛かりを付けて来たのが韓国だ。その不当な言い掛かりを、一部だけ一瞬取り下げたに過ぎない。
 
 それどころか、韓国外相の朴振は「日本企業には自発的な貢献と包括的な謝罪」を求めており、まだまだ日本にタカるつもりを隠していない。
 
 徴用工問題だけではなく、八年前の「慰安婦問題日韓合意」においても、日本は十億円を取られただけで、ソウル日本大使館前をはじめ、各地に慰安婦像は増殖している。
 
 元大統領李明博による天皇陛下侮辱発言や、竹島問題など、山ほどの問題が放置されている。「譲歩」を続けているのは日本だ。
 
韓国「防波堤」論の大嘘
 
 「それでも…」と韓国を擁護する人々は、「北朝鮮や中国に備える為には韓国との連携を」「韓国は反共の防波堤」という。
 
 昭和五十三年に出版された『KCIAの対日マスコミ工作』(晩聲社)という本がある。
 
 韓国がどのようにして、日本のマスコミ、政界の要人を取り込むために韓国の中央情報部(KCIA)が、どのような工作をしていたかを暴露した貴重な本だ。
 
 その中において、「韓国が〝反共の堡塁〟であると思わせて日本から援助を得る」とあり、「韓国に連れて行って三十八度線や北朝鮮側が掘ったトンネルを見せて、日本の平和は韓国のおかげと認識させる」と具体的手口を書いている。
 
 「韓国が防波堤」というのは、韓国側が日本を利用するために宣伝した詐欺話に等しい。
 実際、約千三百年前に朝鮮半島で起きた戦乱と、日本が介入した「白村江の戦い」と、それ以降の歴史においても、朝鮮半島は「防波堤」ではなく、周辺国を不安定と脅威に陥れる「震源地」であったと言ってよい。
 
 韓国が「防波堤」「緩衝地帯」という思い込みを捨てて、朝鮮半島とは縁を切って、韓国に振り回されない外交を行なうのが、あるべき日本の進路だろう。