【書籍紹介】『公徳の国JAPAN』倉田信晴 著、明徳出版社 刊
発行元の出版社は、東洋思想学問を現代人に教義する優れた版元である。著者・倉田氏は『吉田松陰』の著作がある。日本人に於ける<徳>なる精神性。此の普遍的価値は、人間として求められる公徳なる道徳概念。此の理念は、聖徳太子の「和」にも観られる如く、「日本人の美徳であり、アイデンティティー」(倉田)であると。此れは、人類の共通倫理であり世界に誇る得る指針と解する。
福澤諭吉や新渡戸稲造。その他の事例を挙げ著名人に観る公徳心や徳性。此れ為る崇高な道徳概念の根源を成す<公徳>を多面的に分析した名著である。又日本人の道徳規範であるところの『論語』に於ける<徳>と我が国の<公徳>との相違点。此れを明確に分離紐解いて居る。
「和」の精神が如何なる有益性を我が国に齎せしめたか。其れは、協調ある農耕民族の美点を検証している。今、知の黎明が訪れた。
(評者 文藝評論家 蓮坊公爾)