日本に極右政党は台頭するか?

ヨーロッパでは自国第一主義と移民反対を掲げる「極右政党」と呼ばれる勢力が著しい勢いで躍進している様子が報じられています。対して日本でもこうした右派の国民政党が躍進する見込みはあるのでしょうか?

平成は右派政党の挑戦と挫折の時代

日本の現状を見ていきましょう。今回7月の参院選には右派政党が全く出馬しませんでした。平成の30年間も右派政党の挑戦と挫折が繰り返されました。平成4年に野村秋介氏が漫才師の横山やすし氏らと参議院比例区に挑戦した「風の会」を皮切りに様々な挑戦がありました。

おおまかに分けると、「青年自由党」「維新政党・新風」といった特定個人に依拠した組織政党と、「たちあがれ日本」「次世代の党」といった既成政党から派生した議員政党の二種類の流れがありました。

前者は組織実態はあるものの知名度に欠け、財政を個人に依拠しており、その懐具合にあわせるかのように消長していきました。この型の政党の最多得票は平成10年に「青年自由党」が参議院全国比例で獲得した247,355票です。

後者は現役議員が所属して知名度はあるものの、党と言うには組織実態と組織建設の意思が無く、議員個人の都合と思惑によって泡のように表れては消えて行きました。この型の政党の最多得票は平成26年に「次世代の党」が衆議院比例で獲得した1,414,919票です。

これは平成年間を通して右派政党が獲得した最多得票数であり、参議院比例区ならば政党要件を獲得できた数です。しかしこの選挙で「次世代の党」は元自民党の長老議員が2人、地元選挙区で当選したのみで他は全員落選となりました。制度に敗れた形です。

選挙党派比例得票
平成4年参議院選挙風の会221,650
平成10年参議院選挙青年自由党247,355
平成19年参議院選挙維新政党・新風170,509
平成22年参議院選挙たちあがれ日本1,232,207
平成22年参議院選挙日本創新党296,697
平成26年衆議院選挙次世代の党1,414,919
平成28年参議院選挙日本のこころ734,024
欧州より遥かに高い日本の参入障壁

ヨーロッパと違い、日本の議会制度は「新規参入」に極めて高い障壁があると言えます。その一つが供託金制度です。国政選挙区は300万円、衆議院の比例重複をすれば更に600万円、参議院全国比例区に確認団体で出馬するには何と最低でも3300万円もの莫大な供託金が必要です。これは世界中でもダントツの高額なものです。ヨーロッパの大半の国には供託金は無いか、あっても数万円程度です。

また日本の衆議院は選挙区から一人しか当選しない小選挙区制度を採っており、大政党以外が選挙区で勝つのは至難の業です。少数の声を反映させる比例も地域ごとのブロックに区切られており、その当選には得票率の約4%以上が必要になります。比例が全国区になる参議院選挙でも、当選には全国で2%以上の得票が必要となります。

選挙に供託金も無く比例代表制が中心の国が多いヨーロッパと比べて、日本の障壁はかなり高いものです。

ヨーロッパの移民と国会の選挙制度

ヨーロッパで極右政党が躍進した背景として挙げられるのが移民・難民の増加と多文化主義への反発です。

ヨーロッパ主要各国の人口に占める移民の人口比(平成27年時点)と極右政党が国会に占める議席占有率と議会の選挙制度をあわせて見てみましょう。

 ドイツフランススペインイタリアオーストリア
移民12.6%11.9%12.7%9.5%17.2%
極右政党ドイツのための選択肢国民連合VOX国民同盟オーストリア自由党
定数709577350630183
議席9182410951
議席占有率12.8%1.8%6.8%17.3%27.8%
選挙制度小選挙区比例代表併用制(比例中心)小選挙区制比例代表制(県単位)比例代表制(州単位)比例代表制

 

いずれの国も移民が人口比約10%流入しており、それに比例するかのように極右政党の議席占有率も伸びている様子がうかがえます。そして何よりも選挙が比例代表制である事が重要です。フランスは7年前に国民連合のマリーヌ・ル・ペン党首が大統領選挙で17.9% も得票するほど強い支持があるにもかかわらず、小選挙区制度のため議会での議席占有率は1.8%にとどまっています。

日本はフランスの道をたどるか?

現在、日本に居住する外国人は263万人で全人口の2%に達しています。政府は様々な口実で外国人の流入を加速させていますので、やがてヨーロッパ各国のように外国人が総人口に占める割合が一割近くまで達するのは時間の問題かと思われます。

しかし、そうなった時に、日本人が声を上げられるかと言うと、小選挙区制度が中心の現状では難しいと言わざるを得ません。フランスのように外国人が増え、国民から不満の声が出ても議会に反映し難い形になるでしょう。ヨーロッパを見本とするなら移民反対運動と選挙制度改革運動はセットで取り組む必要があります。

(しんぶん国民 令和元年9月号より)