【先人を偲ぶ】第四回 桑木崇秀先生
桑木崇秀先生は大正5年に東京に生まれる。幼いころから頭脳明晰で慶應大学医学部を卒業し、陸軍の軍医として従軍し、インパール作戦にも参戦され、傷付いた多くの戦友の治療に奔走される。終戦後、捕虜として抑留中にビルマの英国軍図書館で漢方薬の本を見て治療したのが漢方薬第一人者となった始まり。
復員後は医学博士として北里研究所付属東洋医学総合研究所部長、東京医薬専門学校長、東洋医学国際研究財団会長など医学界の要職を歴任され、千代田区で開業された。特に漢方医学においては「押しも押されもせぬ第一人者であり、著書の『漢方診療ハンドブック』は昭和58年の刊行から現在に至るまで増補改訂を重ねミリオンセラーの名著として知られている。
桑木先生は英霊の慰霊顕彰と日本再建には人一倍熱心であられた。ビルマ英霊顕彰会副会長、英霊にこたえる会総務委員長なども務められた。我が党の組織改編前の東京都本部においては参与として後進の指導に御尽力をいただいた。インパール作戦において多くの戦友を亡くされた先生だけに、講演会などではよく「『俺たちの声を今を生きる者たちに伝えてやってくれ、そのために桑木、おまえを残したんだ』と英霊となった戦友たちに言われているような気がするんです」と言葉を震わせながら自らの壮烈な戦争体験と祖国日本に対する熱い思いを語られていた。
先生は平成26年9月22日に亡くなられた。最後まで党と運動を支えてくださった。その2年前に展転社から刊行された『自虐史観から脱却して誇り高き日本へ』が先生の遺著となった。
(しんぶん国民 令和元年7・8月号より)