国民分断煽る「アイヌ新法」に大義なし!(山本和幸)

 2月15日、安倍内閣は、いわゆる「アイヌ新法」案を通常国会に提出した。これまでのアイヌ文化振興法などでは「先住民族」と記されていなかったが、国際的圧力に屈し、「先住民族」と初めて法的に位置づけることになる。かつての国会決議同様、全会一致で可決成立の目論見だろう。成立すれば、正式名称は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」となる。

 差別を禁じる条文もみえる。いわゆるヘイトスピーチ規制法は「本邦外出身者」としているが、日本国内に他民族を定義することは「本邦外」自体を歪めかねない。北海道民とほかの日本人との間に違いなどないのだから、差別を惹起するのはこの「アイヌ新法」そのものだろう。「先住民族」定義は、諸外国、特に欧米諸国が抱える「虐殺や迫害弾圧の歴史」観に引き摺られている。

 さらには、「アイヌ民族」の「民族共生象徴空間」なる博物館など文化拠点の設立を新法は謳う。なぜアイヌの誇りを尊重し、振興させることが「国の責務」と明文化しているにもかかわらず、なぜそのような重要な拠点の管理が「民間委託」なのか。国民が疑問を持つことは自然なことだ。

 たとえ異なる文化、系統であっても天皇の下に「帰化(天皇の徳に教化・感化されて、そのもとに服して従うの意味)」していくことはわが国が歩んできた道程であり、日本国民党も「日本国民と共にある国民政党である( 綱領)」とその歴史の中に深く根ざしている。

 既に溶け込んで成熟した「日本国民」という概念に対して、分断をもたらそうとする反国民的策謀には、ゆめゆめ警戒心を怠ってはならない。安倍首相は、日本が営んできた歴史を堂々と見つめ直し、この法案を白紙撤回すべきだ。政治がなすべきは「日本人の誇りが尊重される社会」を築くことだ。当然、そこにはアイヌ系日本国民も含まれる。

(事務局次長 山本和幸)